2013年11月26日火曜日

贅沢な煙草

朝バインミーを買いに行った。作ってもらっているあいだ待っているとおじさんがやってきて、店のお姉さんに「カフェダーね。それと一本、先にもらっとくよ」と言って手に取ったのが、煙草。そしてマッチ一本。


お姉さんに聞いたら一本1000ドンで売っているらしい。カラフルなお皿にのっけられた煙草と、取りやすいように入り口が四角に切り取られたマッチ箱はなんだか可愛らしい。はさみを入れた人の丁寧さが光る。

先のおじさんのように、よくこうして一本単位で買って行く人を見かける。そして素敵なのが、彼らは大事そうに大事そうに、ゆっくり吸うのだ。

その姿を見るといつも思う。贅沢な時間の過ごし方って、こういうことなんじゃないかと。

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2013年11月25日月曜日

カフェタイムはごゆるりと

ビンコムセンター1の地下3階のカフェにて見つけた看板。


Giữ bình tĩnh và uống từ từ.
「落ち着いて、ゆっくり飲もう」

そうだよね、と思った。コーヒーはゆっくり味わって、その時間を大切にしなきゃ。
急いじゃ嫌だよ。

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2013年11月24日日曜日

風呂敷ワークショップへ

日曜日の今日は、めずらしく7区に。BANCYさんというカフェにて、「風呂敷プロジェクト」のワークショップに参加してきてきました。


このプロジェクトは二人の日本人女性、竹中さんと栗須さんによるもの。HIV感染者や貧困者など、それぞれの理由によって仕事に就けないベトナムの人々に仕事を創出している自立支援プロジェクト。使われなくなった布の端切れを手で縫い合わせることによって一枚の風呂敷を作り、商品として販売。その売上が作業者の収入となり、生活を支えています。


創設者の竹中さんは、長年ベトナムで困難を抱えた人々に寄り添い様々な支援活動を行ってきた方。現在進行中のこのプロジェクトでは、日本人の伝統文化である風呂敷の万能さとエコをこの自立支援という形に結びつけているのだそうです。そして現在は拠点を日本に戻した竹中さんを、ホーチミン在住でデザイナーの仕事をしている栗須さんが支え、現在プロジェクトをマネジメントしています。


ワークショップではプロジェクトの理念・現状などが紹介され、 参加者は実際に風呂敷を手に取って包み方を実践。ワインや菓子折り、本、CDなどを包みました。参加者は全部で約10人、日本人が半分、ベトナム人が半分だったけど、特にベトナムの人たちには包み方の多様さが好評でした。

私自身はARBAの活動を通してお二人と知り合い、ARBAのツアーやH大学のベトナム研修でも大変お世話になっていますし、応援しています。プロジェクトのスローガンであり、竹中さんの座右の銘でもあるというガンジーのことば、「善きことはカタツムリの速度で動く」が今日はなんだか身に染みました…

商品としてもとっても素敵な、世界にたった一枚ずつしかない手作り風呂敷。ぜひ一度手に取ってみてください。

From Hem

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プロジェクト情報
http://lifeinhcm.blogspot.com/

お店情報
BANCY coffee and TEA
35 Mỹ Hưng, Nguyễn Văn Linh, Q7
https://www.facebook.com/Bancycoffeeandtea
※その後、このお店はクローズしてしまったようです。(2014年7月追記)

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2013年11月22日金曜日

「物想いカフェ」


ちょっと前から、好きなカフェがある。

Bâng khuâng Cafe (バン・クォアン・カフェ)

私は「物想いカフェ」と呼んでる。その理由は後述。

知人に教えてもらい行ってみたらたちまち好きになってしまった、隠れ家カフェ。1区中心部に建つ、古い佇まいのアパートの一室にある。


天井の高い階段を上っていった、日本風に言った3階に存在。階段は淡い照明と素敵な猫の絵でおしゃれに飾られている。


階段を上がった左側。ひっそりとOPENと掲げられた扉を開くと…


こんなところにこんなカフェが!とびっくりした、落ち着いた雰囲気。店内には静かにジャズが流れる。

 
窓辺には緑も。


コーヒーはなかなか美味しくて、 その他のドリンクメニューも豊富。ランチには麺類やその他の料理がいくつかある。だけど私のお気に入りは、メニューには載っていない Cơm nhà(コム・ニャー/おうちごはん)という、ごはん・野菜・お肉OR魚・スープのセット。これで4万ドン(約200円)だから、立地のわりに はリーズナブルだと思う。


オーナーの女性はバンメトートの出身。大学入学を機にサイゴンへ移住、それからずっとサイゴン暮らし。実家がカフェをやっていた関係で、サイゴンでもずっとこんな雰囲気のカフェを開きたいと夢見ていたらしい。早くに目をつけていたこの物件を借りられるまでに、長い年月と度重なる交渉を経たとのこと。念願叶ってやっと半年前頃にオープンした、自分の店なのだそうだ。


ところで気になっていたこのお店の名前。 Bâng khuângって??


オーナーさんに聞いてみると、バンメトートに咲く、紫色の花の名前らしい。確かに、このお店のマークにもなっている。


そしてBâng khuângという単語にはもう一つの意味がある。越越辞書を引いてみると…

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[Tính từ] có những cảm xúc luyến tiếc, nhớ thương xen lẫn nhau, gây ra trạng thái như hơi ngẩn ngơ.
[形容詞] 惜しさや懐かしさの入り混じった感傷的な気持ちで、心がどこかへ行ってしまったような状態を引き起こしている。
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とある。こ、これはすごい意味…。一言で日本語でしっくりくる単語が見つからないけれど(どなたかあったら教えてください!)、こういうベトナム語に出会ったとき、つくづくベトナム語って感情を表す言葉が豊かで、美しいなと思う。

そんなわけで、冒頭に書いたように、とりあえず「物想いカフェ」と呼ぶことにした。ひとりでぼーっとしたいとき、ちょっと物想いに耽りたいとき、ここへ行くようにしている。 オーナーさんも、そんな場所になったらいいなという意味を込めて、つけた店名だと語ってくれたから。


最後のおまけは、お店のトイレから見える景色。年季の入った建物、窓越しに見えてしまいそうな、ひとんちの暮らし。私はこの景色も、お気に入りなのだ。


トイレットペーパーだって、可愛いの。

From Hem


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お店情報
Bâng khuâng Cafe
Lầu 2, số 9, Thái Văn Lung, Q.1
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2013年11月13日水曜日

ダラットにひとめぼれ②~やっぱり列車が好き


なんて筆無精な自分なの。ブログを始めようとしたときの決意はどこへやら。しかしめげずに書くのです。たとえ一ヶ月以上前のことであろうとも…!

そう。ダラット旅が完結しておらず… 旅日記、再開。


ダラットに行く前に「面白い列車があるよ」と聞いていたので向かった、ダラット駅。


とても可愛らしい外観に、やっぱりひとめぼれ。


Ga Da Lat(ダラット駅)の年季の入った表示の下には、テイストが違うもこれまた可愛らしいポストが(なかにはゴミが詰まっておりましたが)。


駅構内に入ると、鮮やかなのに柔らかな、ステンドグラスが迎えてくれる。


こちら時刻表。一日五便、ダラット駅からお隣の村チャイマット駅の一区間を運行。 かつては統一鉄道の一区間だったというこのエリア、ベトナム戦争終結後に廃止され、現在は観光用の短距離列車として走っているらしい。


こちらでチケット購入。ダラット駅⇒チャイマット駅⇒ダラット駅の往復で、ひとり12万4000VND(外国人料金)。さすが観光用だけあって、なかなかいいお値段。


列車は一両がとっても短い、味のある造り。


写真撮り忘れてしまったけど、車両のなかはぬくもりのある木のベンチ。とはいえずっと座っているとおしりがイタタタ…

チャイマット駅までの約30分間、車窓からの景色は、木々、立派な一軒家、背の低い一軒家、そして、いくつものビニールハウス。野菜や、ダラットらしい花をたくさん育てているのがうっすら見えた。 こういう景色をベトナムで見たのは初めてで、新鮮だった。このときだけ、ちょっと日本に帰って来たみたいな気分になった(特に秩父あたりに)。


さて、到着したチャイマット駅付近で出会った、素敵な人たちを写真で。


まずはこちら、線路沿い、というか線路のすぐそばのカフェ。と、そこでお茶をする地元の人々。 


商店の前に椅子を出し、おしゃべりに講じるおばちゃんたち。


ちょっと近づいてみる。冬の装いが愛らしいおばあちゃんだった。

 

やはり線路沿いで果物を売るお姉さんたち。日差しがこれっぽっちもないのに、ノンラーをかぶるのかぁ… と不思議に思う。寒さ対策にもなるのだろうか。


Hot Tocにて、散髪後に炭鉱夫のごとく耳掃除に取り組むお兄さん。お客のおじちゃん、きもちよさそうだ~!


ちょうど小学校の午前の部が終わる時間だったみたい、鮮やかな青の制服姿の子ども達がわっと登場。そりゃ寒い地域だものね、こうして上着も。サイゴンじゃ見ない風景、おもしろい。

 

ずっと互いのそばを離れようとしない四人組の女の子。あれ、そういえばみんな手ぶら…?


土埃が舞い、道が悪く、天気のせいもあってちょっと暗い雰囲気のあったチャイマット駅周辺。だけどそこに暮らす人たちは明るくくつろいでいた。こうして旅先でその土地の人びとの生活が垣間見れたときが、いちばん、来て良かったなぁと思うときかもしれない。


ダラット駅に戻る列車に乗りこむ。また、ビニールハウスの景色のなかを駆けてゆく。

たぶんきっと、この列車にはまた乗るだろうなという予感が、ある。


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