2013年12月30日月曜日

愛しの空芯菜は、ストローに。


数ある美味しいベトナム料理のうち、やっぱり万能なのは空芯菜。炒めても茹でても本当に美味しい。安くていろいろな調理ができて他の食材との相性もよい、庶民の強い味方。

だけどこんな使い方をしているカフェは、他にない。↓


なんと、ドリンクのストローに! まさに「芯」が「空」だからこその技。コーヒーだろうと、シントーだろうと、どんな飲み物にもついてくる空芯菜ストロー。いつ見ても、斬新だなぁ。


ニコニコ楽しめる、空芯菜の新しい方法。

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お店情報
Cục Gạch Quán/79, Phan Kế Bính, Quận 1

※市内に三店舗あります。この日私が行ったのは、こちらでした。
オーナーは建築デザイナーということで、内装にとってもこだわりがあります。
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2013年12月15日日曜日

朝の風景


新聞とザボンと宝くじと。そこに在る人びと。

だいすきな朝の風景。

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2013年12月2日月曜日

「悲しみを分かち合う」


一昨年に日本で大震災が起こったとき、私は今と同じようにサイゴンにいた。

そのときちょうどウェブサイトを見ていて、地震があったことはすぐに知ったが、ぼうっとしていたのだろう、事態が深刻だということに気づいたのはもう少し後、ベトナム人の友人たちから電話をもらって、だった。

「日本で大変なことが起きているらしいけど、あなたの家族や友達は大丈夫なのか?」

こうした電話が連続でかかってきて、慌ててテレビをつけ、ネットのニュースを熟読し、ようやく状況がわかった。実家や親友に国際電話をかけたが回線が混み合いつながらない。彼らの声が聞け、少し気持ちが緩んだのはその日の夜だった。

その後はしばらく、サイゴンでどこに行っても私が日本人とわかると、いろいろな人が声をかけてくれた。友人知人だけでなく、たまに行くコピー屋のおばちゃんや、図書館の係員のおじいさんや。一度も言葉を交わしたことがなかったのに、突然、「あなたの家族や友達は大丈夫なのか?」と声をかけられた。そのたびに胸が熱くなった。私の家族も友達も大丈夫だけれど、日本では大丈夫じゃない人がたくさんいるのだということを説明した。なかには涙を流し私以上に苦しそうにしているベトナムの人もいた。 こちらで私が使用しているMobifoneという電話会社は、期間限定で日本への国際電話を無料にするサービスを行っていたが、Mobifoneのオフィスのお姉さんも優しく、だけど辛そうな表情でサービスを説明してくれた。

こうした場面に出会うたびに、よく言われた台詞がある。"Chia buồn"(チア・ブォン)という言葉だ。

Chiaは「分ける、共有する」で、buồnは「悲しい、さびしい」という意味の単語。「悲しみを分かち合う」という意味になるこの台詞が、日本のいわゆる「お悔やみ申し上げます」という台詞にあたることは、なんとなくピンときた。物資も、財産も、そして感情も、いつだってシェアすることを大切にしているベトナムの人びとらしい、暖かく素敵な言葉だと思った。

この"Chia buồn"という言い方は、誰かの死を悲しんで弔ったり、先のように災害などが起こって深刻な状況がもたらされお悔やみを伝えたいときに使う言い回しらしい。日常で何か嫌なことがあり、「ちょっと聞いてよ、悲しいことがあってさ」というような、気軽な形では使えないようだ。 こうしたときには、Chia sẻ nỗi buồn とか、 với đi nỗi lòng といった言い方がふさわしいのだと、ベトナム語で日記を書くのに利用しているLang-8という外国語学習サイトで教えてもらった。もちろん、人の悲しみのレベルを決め付けてしまうことなんて、他人にはできないけれど。

"Chia buồn"は、それが言われる場面を想像すると辛いが、私が好きなベトナム語のひとつだ。ベトナムの人の「分かち合う」精神に、ほんの少し、触れられるような気がするから。

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2013年11月26日火曜日

贅沢な煙草

朝バインミーを買いに行った。作ってもらっているあいだ待っているとおじさんがやってきて、店のお姉さんに「カフェダーね。それと一本、先にもらっとくよ」と言って手に取ったのが、煙草。そしてマッチ一本。


お姉さんに聞いたら一本1000ドンで売っているらしい。カラフルなお皿にのっけられた煙草と、取りやすいように入り口が四角に切り取られたマッチ箱はなんだか可愛らしい。はさみを入れた人の丁寧さが光る。

先のおじさんのように、よくこうして一本単位で買って行く人を見かける。そして素敵なのが、彼らは大事そうに大事そうに、ゆっくり吸うのだ。

その姿を見るといつも思う。贅沢な時間の過ごし方って、こういうことなんじゃないかと。

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2013年11月25日月曜日

カフェタイムはごゆるりと

ビンコムセンター1の地下3階のカフェにて見つけた看板。


Giữ bình tĩnh và uống từ từ.
「落ち着いて、ゆっくり飲もう」

そうだよね、と思った。コーヒーはゆっくり味わって、その時間を大切にしなきゃ。
急いじゃ嫌だよ。

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2013年11月24日日曜日

風呂敷ワークショップへ

日曜日の今日は、めずらしく7区に。BANCYさんというカフェにて、「風呂敷プロジェクト」のワークショップに参加してきてきました。


このプロジェクトは二人の日本人女性、竹中さんと栗須さんによるもの。HIV感染者や貧困者など、それぞれの理由によって仕事に就けないベトナムの人々に仕事を創出している自立支援プロジェクト。使われなくなった布の端切れを手で縫い合わせることによって一枚の風呂敷を作り、商品として販売。その売上が作業者の収入となり、生活を支えています。


創設者の竹中さんは、長年ベトナムで困難を抱えた人々に寄り添い様々な支援活動を行ってきた方。現在進行中のこのプロジェクトでは、日本人の伝統文化である風呂敷の万能さとエコをこの自立支援という形に結びつけているのだそうです。そして現在は拠点を日本に戻した竹中さんを、ホーチミン在住でデザイナーの仕事をしている栗須さんが支え、現在プロジェクトをマネジメントしています。


ワークショップではプロジェクトの理念・現状などが紹介され、 参加者は実際に風呂敷を手に取って包み方を実践。ワインや菓子折り、本、CDなどを包みました。参加者は全部で約10人、日本人が半分、ベトナム人が半分だったけど、特にベトナムの人たちには包み方の多様さが好評でした。

私自身はARBAの活動を通してお二人と知り合い、ARBAのツアーやH大学のベトナム研修でも大変お世話になっていますし、応援しています。プロジェクトのスローガンであり、竹中さんの座右の銘でもあるというガンジーのことば、「善きことはカタツムリの速度で動く」が今日はなんだか身に染みました…

商品としてもとっても素敵な、世界にたった一枚ずつしかない手作り風呂敷。ぜひ一度手に取ってみてください。

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プロジェクト情報
http://lifeinhcm.blogspot.com/

お店情報
BANCY coffee and TEA
35 Mỹ Hưng, Nguyễn Văn Linh, Q7
https://www.facebook.com/Bancycoffeeandtea
※その後、このお店はクローズしてしまったようです。(2014年7月追記)

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2013年11月22日金曜日

「物想いカフェ」


ちょっと前から、好きなカフェがある。

Bâng khuâng Cafe (バン・クォアン・カフェ)

私は「物想いカフェ」と呼んでる。その理由は後述。

知人に教えてもらい行ってみたらたちまち好きになってしまった、隠れ家カフェ。1区中心部に建つ、古い佇まいのアパートの一室にある。


天井の高い階段を上っていった、日本風に言った3階に存在。階段は淡い照明と素敵な猫の絵でおしゃれに飾られている。


階段を上がった左側。ひっそりとOPENと掲げられた扉を開くと…


こんなところにこんなカフェが!とびっくりした、落ち着いた雰囲気。店内には静かにジャズが流れる。

 
窓辺には緑も。


コーヒーはなかなか美味しくて、 その他のドリンクメニューも豊富。ランチには麺類やその他の料理がいくつかある。だけど私のお気に入りは、メニューには載っていない Cơm nhà(コム・ニャー/おうちごはん)という、ごはん・野菜・お肉OR魚・スープのセット。これで4万ドン(約200円)だから、立地のわりに はリーズナブルだと思う。


オーナーの女性はバンメトートの出身。大学入学を機にサイゴンへ移住、それからずっとサイゴン暮らし。実家がカフェをやっていた関係で、サイゴンでもずっとこんな雰囲気のカフェを開きたいと夢見ていたらしい。早くに目をつけていたこの物件を借りられるまでに、長い年月と度重なる交渉を経たとのこと。念願叶ってやっと半年前頃にオープンした、自分の店なのだそうだ。


ところで気になっていたこのお店の名前。 Bâng khuângって??


オーナーさんに聞いてみると、バンメトートに咲く、紫色の花の名前らしい。確かに、このお店のマークにもなっている。


そしてBâng khuângという単語にはもう一つの意味がある。越越辞書を引いてみると…

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[Tính từ] có những cảm xúc luyến tiếc, nhớ thương xen lẫn nhau, gây ra trạng thái như hơi ngẩn ngơ.
[形容詞] 惜しさや懐かしさの入り混じった感傷的な気持ちで、心がどこかへ行ってしまったような状態を引き起こしている。
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とある。こ、これはすごい意味…。一言で日本語でしっくりくる単語が見つからないけれど(どなたかあったら教えてください!)、こういうベトナム語に出会ったとき、つくづくベトナム語って感情を表す言葉が豊かで、美しいなと思う。

そんなわけで、冒頭に書いたように、とりあえず「物想いカフェ」と呼ぶことにした。ひとりでぼーっとしたいとき、ちょっと物想いに耽りたいとき、ここへ行くようにしている。 オーナーさんも、そんな場所になったらいいなという意味を込めて、つけた店名だと語ってくれたから。


最後のおまけは、お店のトイレから見える景色。年季の入った建物、窓越しに見えてしまいそうな、ひとんちの暮らし。私はこの景色も、お気に入りなのだ。


トイレットペーパーだって、可愛いの。

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お店情報
Bâng khuâng Cafe
Lầu 2, số 9, Thái Văn Lung, Q.1
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2013年11月13日水曜日

ダラットにひとめぼれ②~やっぱり列車が好き


なんて筆無精な自分なの。ブログを始めようとしたときの決意はどこへやら。しかしめげずに書くのです。たとえ一ヶ月以上前のことであろうとも…!

そう。ダラット旅が完結しておらず… 旅日記、再開。


ダラットに行く前に「面白い列車があるよ」と聞いていたので向かった、ダラット駅。


とても可愛らしい外観に、やっぱりひとめぼれ。


Ga Da Lat(ダラット駅)の年季の入った表示の下には、テイストが違うもこれまた可愛らしいポストが(なかにはゴミが詰まっておりましたが)。


駅構内に入ると、鮮やかなのに柔らかな、ステンドグラスが迎えてくれる。


こちら時刻表。一日五便、ダラット駅からお隣の村チャイマット駅の一区間を運行。 かつては統一鉄道の一区間だったというこのエリア、ベトナム戦争終結後に廃止され、現在は観光用の短距離列車として走っているらしい。


こちらでチケット購入。ダラット駅⇒チャイマット駅⇒ダラット駅の往復で、ひとり12万4000VND(外国人料金)。さすが観光用だけあって、なかなかいいお値段。


列車は一両がとっても短い、味のある造り。


写真撮り忘れてしまったけど、車両のなかはぬくもりのある木のベンチ。とはいえずっと座っているとおしりがイタタタ…

チャイマット駅までの約30分間、車窓からの景色は、木々、立派な一軒家、背の低い一軒家、そして、いくつものビニールハウス。野菜や、ダラットらしい花をたくさん育てているのがうっすら見えた。 こういう景色をベトナムで見たのは初めてで、新鮮だった。このときだけ、ちょっと日本に帰って来たみたいな気分になった(特に秩父あたりに)。


さて、到着したチャイマット駅付近で出会った、素敵な人たちを写真で。


まずはこちら、線路沿い、というか線路のすぐそばのカフェ。と、そこでお茶をする地元の人々。 


商店の前に椅子を出し、おしゃべりに講じるおばちゃんたち。


ちょっと近づいてみる。冬の装いが愛らしいおばあちゃんだった。

 

やはり線路沿いで果物を売るお姉さんたち。日差しがこれっぽっちもないのに、ノンラーをかぶるのかぁ… と不思議に思う。寒さ対策にもなるのだろうか。


Hot Tocにて、散髪後に炭鉱夫のごとく耳掃除に取り組むお兄さん。お客のおじちゃん、きもちよさそうだ~!


ちょうど小学校の午前の部が終わる時間だったみたい、鮮やかな青の制服姿の子ども達がわっと登場。そりゃ寒い地域だものね、こうして上着も。サイゴンじゃ見ない風景、おもしろい。

 

ずっと互いのそばを離れようとしない四人組の女の子。あれ、そういえばみんな手ぶら…?


土埃が舞い、道が悪く、天気のせいもあってちょっと暗い雰囲気のあったチャイマット駅周辺。だけどそこに暮らす人たちは明るくくつろいでいた。こうして旅先でその土地の人びとの生活が垣間見れたときが、いちばん、来て良かったなぁと思うときかもしれない。


ダラット駅に戻る列車に乗りこむ。また、ビニールハウスの景色のなかを駆けてゆく。

たぶんきっと、この列車にはまた乗るだろうなという予感が、ある。


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2013年10月8日火曜日

ダラットにひとめぼれ①~カフェとおじさまと街並みと


サイゴンの日々のことを書こうとしてつくったブログ。
気づけばどこかに出かけたことばかり書いている……のはご愛嬌。

先週、上海から遊びに来たT子さんとダラットに行ってきた。T子さんは、2年間ホーチミンでお仕事したのちに活動の場を上海にうつしているパワフルな女性。中国の国慶節休みを利用して、かつての生活の地ホーチミンに来ることに。貴重な時間を割いて私と旅に出てくれた。

T子さんは数回目だが、私は初のダラット。いつか行くだろうと思っていたらあっという間に4年以上が経ってしまった。今回はやっとやってきた、うれしいチャンス。


それでは写真で振り返るダラット旅、はじまり。


T子さんのすすめにより、こちらのThanh Buoiバス会社を選択。なんと、昼夜関係なく毎日1時間ごとにバスが出ているという、素敵バス。私たちはDien Bien Phu通りのオフィスから乗車(Van Thanh公園のすぐそば)。


私たちの選んだ寝台バス。深夜1:00に出発し、翌朝8時頃にダラット着。これで片道22万ドン(ちょうど1000円くらい)。


バスの車内はこんな感じ。2段ベッド。上はなかなか揺れるので、下がオススメ。でも、リクライニングで倒せるベッドの寝心地はかなり良し。


翌朝、ダラット到着後にすぐ食べたBun Rieu(ブン・リウ)。臭みが少なくとっても美味しかった。


その後入ったヘム(路地)のカフェ。ダラットには低めの木のテーブルにソファというスタイルのカフェが多かった。年間を通して涼しい気候のダラットには、こうした革張りのソファはあたたかく感じられていいのかもしれない。


ここで飲んだカフェスアダーが、また美味しかった。 「あいつら韓国人か?中国人か?」という地元の人々の会話を聞きながら、ふふんと過ごしていると、ひとりやってきたダンディなおじさま。やはり地元の常連さんのようで、何もオーダーしていないのにお店のお姉さんがカフェダーと煙草一本を出していた(マッチを添えて、というのがカッコイイ)。その佇まい、煙草のふかし方、哀愁漂う横顔、目があったときのくしゃっとした笑顔……にやられてしまったのはT子さん。翌日もまたここに通うことが決定した瞬間(残念ながらおじさまには会えなかったけど)。


私はおじさま以上に、ダラットの街並みにひとめぼれしてしまった。


緑が多いダラット。半そででは過ごせないくらいに涼しくて、気もちがいい。日本で言ったら軽井沢のような避暑地なのかな。



起伏の多いその丘陵地には、ホーチミンのように高い建物はなく、街の景観は独特。三角屋根やレンガ造りの屋根の家がたくさんあり、建築様式もホーチミンとはだいぶ異なる。フランス植民地時代に開発されただけあって、小さな街のなかにはロータリーも多かった。


こんな風に可愛い窓にも出会ったりして。


街の中心には、小さいが存在感のある教会も。ミサは見られなかったが、この地にカソリックの人々はどれぐらいいるのだろう。


着いた瞬間に惚れ、「ここにはまた来るだろう」と確信してしまったダラット。何よりベトナムで好きな場所がまた一つ増えたのが、たまらなく、うれしかった。


(旅、続きます)


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2013年9月23日月曜日

ハノイへの旅④~旧市街を歩く

ほったらかしにしていましたが、ブログ再開。7月末のハノイ旅についてそのままになっていたので、更新します…(汗)

ハノイの旧市街を散歩していたときに出会った、素敵な人たち、モノたちを写真で。

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旧市街のとあるおうちで行われていた、結婚式。新婦さんの白いアオザイが素敵。


セトモノ屋さんだったかな… 商品を大切そうに包むお兄さん。

額縁づくりに真剣な、おじさん。


旧市街は、開け放し文化。ご近所さん付き合いがよく見える。


多かった、鳥かご。


電線工事中。


竜眼を売っていたお姉さん。この計り方!に感激。


路上で卵を購入するおばさんたち。


旧市街にはこーんな路地がたくさん。探検したくなります。


貼り出された新聞を熱心に読むおじさんたち。


こちら、ラオドン(労働)新聞でした。Oのとこの星が、いい。


自転車の前カゴに新聞を入れて売り歩いていたおばあさん。


どっこいしょ。ちょいと休憩。か、かっこいい。


旧市街は自転車を押した売り子さんがたくさんで、楽しい。


老舗フォー屋のおじいさん。旅のパートナーMさんが配給時代のアルミのお皿に一目ぼれし、売ってほしいと懇願するも頑なに「売らないよ」。記念の品だったらしい。その姿勢もかっこよかった。


こちらがそのお皿。


バインダークア売りのおばちゃん。ハイフォン出身。ご夫婦で営む。


バインダークア。大ファンになり、のちにサイゴンで探すことに。


最後は、路上の床屋さん。

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ハノイの旧市街は面白いものたくさん。
必ずまた、行きたい場所。

(ハノイ旅、終わります。読んでくださり有難うございました。)


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