2014年8月24日日曜日

看板のベトナム語vol.2~二つの「私たち」のこと



中部名物のきし麵・Mì Quảng(ミークワン)が大好きです。今日のランチで、食べに行ってきました。

本当に日本のうどんやきし麵のように、コシが強く歯ごたえがあります。スープは少なめ又は無しで、具材はお好みで鶏肉やさつまあげやエビ…などなど。今日私が注文したのは「全部のせ」のMì Quảng Đặc biệt (特製ミークワン)で、つけ合わせのおせんべいや野菜・香草たちとの相性も抜群。

 
今日行ってきたのはこちらのお店。平日には他にもBún Riêu(ブン・リウ/カニ味噌入り細めん)やCơm gà Hội An(コム・ガー・ホイ・アン/ホイアン風チキンライス)といった北中部の料理がたくさんあるそうですが、土日はミークワンのみ(残念…)。それでもミークワンだけでも具材違いで10種類以上の品があるので、楽しく悩みながら選べます。


さて、看板のベトナム語。正確には店内に貼られた大きなステッカーでしたが、こちら↑。

**********
Mọi người yêu thích chúng tôi trên Foody.vn.
「Foody.vnで皆様に愛されているお店です」
**********

Foody.vnというのはベトナムの投稿グルメサイト。
上の文の単語を分解すると、

Mọi người......皆、全員
yêu thích......好む、気に入る
chúng tôi......私たち(話し手側のみ含む)
trên A .......Aの上で、A上で

ベトナム語はSVO文法なので、直訳だと「皆さんはFoody.vn上で私たちのことを気に入っています」という感じでしょうか。ここでのポイントは Chúng tôi。ベトナム語で「私たち=We」にあたる単語は、実はChúng ta(チュンター)とChúng tôi(チュントイ)の二つがあって、この二つは大きく意味が異なります。

Chúng taは、話し手と聞き手との両者を含む、今同じ場に居合わせている全員を指す「私たち」。
一方のChúng tôi、は話し手側のみをさす「私たち」。聞き手は含まれません。上記の文で「皆さん」とともに「私たち」を使ってしまうと紛らわしいかなと思い、私はこれを「お店」と訳してみています。

この二つの違いを初めて習ったとき、ベトナム語ってすごく面白いなぁと思ったのを覚えています。日本語ではシチュエーション次第。話し手+聞き手の「私たち」か、話し手のみの「私たち」か、同じ単語を使いつつ状況判断が求められますが、ベトナム語でははっきり区別。他の言語には疎いので、世界的に見た時にこういう言い方をする言語がどれくらいあるのかはわからないですが、ベトナム語は二つの「私たち」を使い分けることで、「こっち側」と「あっち側」という陣営をはっきりさせる。今回の例に限らず、そういうことが多いように思うのです。私は詳しくないのですが、これらは中国語の影響が強いのかな…なんて疑問が浮かびます。

少し話が逸れてしまうかもしれないですが、例えば「祖父・祖母」という言い方でも、それぞれ二つあります。

「祖父」=ông nội/ông ngoại 
「祖母」=ba nội/ba ngoại

nộiは漢字の「内」、ngoạiは漢字の「外」があてはまり、「内祖父母」は「父方の祖父母」、「外祖父母」は「母方の祖父母」という意味になります。これもやはり中国からの影響なのでしょうか…いまとっても興味があります。感覚的な話ですが、 ベトナムの人びとの「内」と「外」の概念って、いつもはっきりしているように思えます。彼らの「内」と「外」への考え方、そのうち、言葉の面からたくさん例を挙げてみたいなぁ…と秘かに思っていて、今回紹介した二つの「私たち」も、一つの面白い例じゃないかなと感じてます。

話をギュンッと最初に戻すと。

皆から愛されいるお店のミークワンも、とってもオススメなのです。

*****
お店情報
Mỳ Xứ Quảng(ミー・スー・クアン)
190, Nguyễn Văn Thủ, Quận 1, TP.HCM
Foody.vn: http://www.foody.vn/ho-chi-minh/my-xu-quang
*****

From Hem

0 件のコメント:

コメントを投稿