2014年10月5日日曜日

メコンデルタの旅⑦~ダーバック島


カントーからカーマウに向かうバスのなかで色んなアドバイスをくれたT兄さん。「カーマウでゆっくりするつもりなら、ここへ行くといいんじゃないか」と教えてくれたのが、市内から西へ40kmほど向かった先のタイランド湾に浮かぶ小さな島、ダーバック島Hòn Đá Bạcでした。



やはりホテルのフロントで行き方を尋ねます。まずはカーマウ市9地区(市内にはPhườngの単位で1地区から9地区までがあります)に位置するバスターミナルへ向かいます。ここはカントーからやってきたときの長距離バスターミナルとは別で、カントー省内の移動に使うローカルバスターミナルのようです。ありがたいことにホテルのお兄さんがバイクで送ってくれました。感謝。


さて、そのターミナル。私がベトナム国内を旅してきたなかで、最も「これってターミナルって呼べるのかしら」と思ってしまう場所でした。駐車場、と言ったほうが近いかもしれません(笑) ワゴン車がいくつか並んでいてそれぞれに行き先は違います。「ダーバック、ダーバック」と叫んでいたら、売店のおばちゃんが親切に「まもなく出るから、ここに座ってなさいな」と声をかけてくれました。もちろんばっちり、ドリンクを買わされましたが(笑)


何時に出るかもよくわからない、ダーバック島行きのワゴン車を待ちます。本当に行けるのかな…まぁ行けなかったらそれはそれで…なんて思いつつ、近くにいた20代前半風の女の子(おそらく売店のおばちゃんの娘さん)とおしゃべりをします。彼女はかつて仕事でサイゴンにもいたことがあるとのこと。サイゴンネタで盛り上がり、外国人の私にもそんなに驚かずに自然体で接してくれたのが心地よかったです。


待つことおよそ30分、いよいよダーバック島行きのワゴン車の出発となりました。この車で向かいます。ダーバック島までは3万5000ドン、約1時間半の移動です。

車内には私の他に大きなマットレスを積んだご夫婦と、途中から乗車した親子(夫婦と子の3人)がいるだけでした。マットレスのご夫婦、旦那さんが具合が悪いのか終始奥さんの膝枕で寝ていて、時々苦しそうな呻き声を出していたのでなんだか気の毒でした。そんな旦那さんに対していかにも迷惑そうな仏頂面の奥さん、の対比がなんだか面白くて、ひとりでクスクス笑ってしまいました。


ダーバック島までの車窓からの景色は、とっても面白いものでした。緑が溢れ、運河沿いに点在する民家。舗装されていない道はかなりガッタンゴットンと車が揺れましたが、それすらも楽しい、カーマウの田舎の風景を味わうことができました。


2組の家族は途中下車していき、終点のダーバック島まで乗っていたのは私だけでした。到着したのは島に行く手前の、バスターミナル。「これってバスターミナルって呼べるのかしら」度の高い場所が、あっさりと更新された瞬間でした(笑)

ここから島の入り口まではまだ距離があるとのこと、セオムのおじさんをつかまえて行きます。


こちらがダーバック島の入り口。日曜日だったということもあり、それなりに観光客がいましたが、ひとりで来ているのは私だけの様子、セオムのおじさんにも、チケット売り場のお姉さんにも、すれ違った若者グループにも、「なんでひとりなの?」と連呼されました。ひとり旅が好きなのだもの~!!と回答している私、そんなつもりはないのに、なんだか強がりのよう。


ここは入場料がかかります。大人は2万5000ドン、子どもは1万ドン。この日は午前中から小雨が降りあいにくの天気でしたが、セオムのおじさんに言わせれば「合羽を着ればいいだけじゃない、何てことないだろ」とのこと。うん、本当にそうなのです。


入口からはこのように橋が架けられています。自分がタイランド湾の上を歩いていると思うと、またまた感慨深い気持ちになってきます。橋が架けられた先には二つの島があり、これらをさしてダーバック島Hòn Đá Bạcと呼ぶそうです。ちなみにHònは「島(連接する複数の島の全体の呼称)」、Đáは「岩」、Bạcは「銀」を意味し、「銀色の岩の島」となります。


この日は風もあり、波もけっこう強いタイランド湾でしたが、橋からの景色は見事な絶景でした。



橋が終わるところ、つまり島にたどり着いたところには、このような2匹の龍のオブジェが出迎えてくれました。


観光スポットは2つ目の、奥の方の島に集約されている様子。さらに進んで行きます。私は歩いて行きましたが、バイクで橋を渡り島の中まで入って行くことができるようでした。


波打ち際で遊ぶ親子。キャッキャと声をあげて水遊びを楽しむ小さな兄弟と、それを穏やかに見守っていたお母さん。


2つ目の島の入り口には、ダーバック島を紹介する石碑が。ここで若い男女のグループに写真撮影を頼まれました。カーマウ省やキエンザン省出身のメンバーによるグループとのこと、見ていたら3組のカップルのようでした。こういうところでグループでデートをするのかぁ~と、なんだか微笑ましくなりました。


島の中は緩やかに道順が示されていたので、それをたどって見学していきます。こんな風に波打ち際を歩いたりもして。


湾に浮かぶ船。釣りをしている人が見えました。


かと思えば、こんな風に島に釣りに来ているおばあさんも。何が釣れたのかな。


歩いていると御像があったり、


立派な造りのホテル&レストランが出てきたり、


お寺?と思って入ってみたら…


鯨の骨を祀った廟でした。海とともに生きている人々の場所なんだ、と思いました。ここでは3組のカップルの若者グループが熱心にお祈りをしていて、おみくじらしきものもしていました。


道順に沿って丘のようなところへ登っていくと、こんなモニュメントがありました。真ん中の文字はBảo vệ an ninh tổ quốc=「祖国の安全を守る」と書いてあります。この小さな島も、「祖国」の一部なんだということを強調しているのでしょうか。


すぐそばには「人民警察博物館」という施設があったので入ってみたかったのですが、鍵がかかっており人もおらず(涙)


だけどこの丘から眺める景色は素晴らしかったです。


丘を下りまた道順の通りに進んで行くと、今度はホーチミン主席の像を祭った建物が出現しました。


こんなところに!? というのが正直な印象でしたが、ここだからこそ、なのかもしれません。カーマウ市内と同じく、ハノイから最も遠いと言えるこの地域にだからこそ、祖国統一、民族解放の父としての象徴のホーチミン像が、ベトナムという国にとっては必要なんじゃないだろうかと。ここでは1組の家族連れが、お線香に火をつけ熱心にお祈りをしていた姿が印象的でした。



左右の壁にはこのように、ホーチミン主席の歴史が写真で紹介されていました。主に1945年前後のものでした。


ホーチミン廟をあとにしてさらに進むと道が開け、島の入り口に戻ってきました。ぐるっと一周してきたのでした。道には随分と波が押し寄せていてちょっとドキドキしました。こんな看板があったのですが、その前に言うことがあるのでは、とひとりツッコミを入れてしまいました(笑)

Chú ý đường trơn trượt.
「道、滑ります、注意」


お昼を食べ損ねていたので、さっきの立派なレストラン、ではなく、売店のようなところで食事をしました。聞いたところ「Mì gói(インスタントラーメン)しかないわよ」とお店の人に言われましたが、構わず注文。これが意外と美味しくて、自分で作るのとは違うなぁと関心してしまいました。ライム、唐辛子、醤油、そしてネギを加えるのがよいのかも…。あとはロケーションの力、かも。


ダーバック島を堪能したので、行きに連れて来てもらったセオムのおじさんに電話をして迎えに来てもらいました。カーマウ市へと帰るべく、行きと同じようにあの小さなバスターミナルへ連れていってもらおうとするも、おじさんの計らいで、ターミナルへ向かう道の途中から、ちょうど今まさに発車しようとしているワゴン車に乗せてもらいました。行きとは違い満席の車内。皆さん、カーマウ市へどんな用へ行くのかなぁと色々想像して楽しんでいました。

日帰りのプチ旅、ダーバック島はおすすめです。

From Hem

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