2014年10月6日月曜日

メコンデルタの旅(終)~クメール寺院、帰路


カーマウの旅も今日がいよいよ最終日。お昼にはサイゴン行きのバスに乗ります。

午前中は気になっていたところへ。実は前日ダーバック島へ行く途中の車内から、遠くのほうにクメール寺院の先端が見えていたのでした。カントーでも偶然見つけたクメール寺院。カーマウでもぜひ見てみたいと思い、ホテルを出てすぐのところにいたセオムのおじさんに「クメールのお寺、知っていますか?」と聞いてみたところ、「ああ、わかるよ」と力強いお返事が。連れて行ってもらうことにしたのです。


カーマウ市中心部の1地区に位置する、とある路地のなかにありました。写真を撮りそびれてしまいましたが、路地の入口に大きくお寺の名前の看板が掲げられていて、クメール語とベトナム語の併記になっていました。この路地には民家も多く、クメール民族の人々が集まっている地域なのかな…?なんて考えていました。


こちらがお寺の門構え。クメール語のみでしたが、調べたところMonivongsa Bopharamという名前のお寺で、1964年に建立されたようです。門は開いていましたが人気がなく、おそるおそる入ります。

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お寺情報
ベトナム語の名前は、Chùa Khmer Monivongsa Bopharam
Add:đường Lý Văn Lâm, khóm 3, phường 1, TP Cà Mau(番地不明)
http://dulich.vnexpress.net/photo/anh-video/net-dep-chua-khmer-o-ca-mau-2909315.html
ウェブ上に紹介ページ(ベトナム語)がありました。
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門の内側にあったもの。この立派な門を造ったのが1995年6月22日で、その際に埋め込んだものだそうです。


門を挟んで反対側にはクメール語で、同様の表記がありました。


お寺の中に一歩足を踏み入れると、まずはその煌びやかな本堂に驚かされます、が…


さらに驚くべきは本堂のの脇に置かれた巨大な涅槃仏。クメール寺院で涅槃仏ってよくあるものなのでしょうか、私は初めてでびっくりしました。




鍵がかけられていたため残念ながら本堂のなかには入れませんでしたが、その周りをぐるりと見学するだけでもとっても見ごたえがありました。力強いお寺でありながら、装飾が非常に繊細です。



敷地内にはいくつか建物がありましたが、「Hội trường」 とベトナム語で書かれたホールもありました。ここはベトナム語なんだぁ、と不思議に思います。

 

こちらはどうやら信者さんのお墓のようです。Tập thể=「集団」とあることから、遺骨が複数入っているのでは、と思いました。


中にはこうして個人のお墓も。非常に立派な造りでした。ここもやっぱりベトナム語。


たっぷり見学させてもらい、そろそろ帰ろうかと思っていると突然おじさんが!! このお寺の管理人さんだそうです。全く人気がなく、僧侶の姿も見かけなかったので、おじさんの登場にビックリしましたが、見学のお礼を伝えることができました。「来訪の記念に」と、私のほうに携帯のカメラを向けてきました(笑) え~い、それならこっちも!! と撮り返したのが、この写真↑


おじさんに促され、敷地内の建物の一つの中に入らせてもらいました。お寺の名前が併記されていますが、ここはお坊さんたちの住居のようです。室内には、少人数ですがいました、お坊さんたち。



仏像の横に、こんな風にホーチミン主席の肖像画。カントーのクメール寺院と同じでした。宗教は仏教、クメールの寺院、でもここはやはりベトナムの一部なのです。


住居内のホワイトボードだけが、クメール語のみでした。日常会話としてはベトナム語だけれども、仏陀の教えなど信仰の部分ではクメール語が使われるのでしょうか…。これを書いている今、もっといろいろ知りたくなってきました。


ところでこのお寺の敷地内には、鳩が多いこと、多いこと。日本にいる、鳩恐怖症の友人の顔が浮かびました(笑) 私は平気なのですが、それにしてもすごい数…。


管理人のおじさんが鳩にエサをあげ始めました。「写真、撮っていいよ」とつぶやくおじさん。どうやら私のためにシャッターチャンスを作ってくれたようでした。さっき撮り返したときには嫌がっていたのに、鳩とならいいんだぁ~と微笑ましくなりました(笑) これがいつものおじさんの仕事、自然体の様子、ということなのかもしれません。おじさんに聞いてみたら、クメール人だけど、生まれも育ちもこのカーマウ。学校ではベトナム語が中心だったけどクメール語を習う授業もあったり、さらにこのお寺でお坊さんたちが教えてくれていたから、自分はベトナム語もクメール語も読み書きできるよ、とのことでした。このエリアに住むクメールの人々はきっとそうやって、お寺を信仰と暮らしの拠り所として生活しているのかな、と思いました。

管理人のおじさんに御礼を言い、お寺を後にします。別れ際、セオムのおじさんが管理人のおじさんに対して、丁寧に手を合わせていたのが印象的でした。ホテルまで送ってくれ私と別れるときにも、静かな低い声で、「Chúc sức khoẻ. (元気でね)」と言ってくれました。直訳では「健康を祈ります」というこのフレーズ、初対面の人にこんな風にかけてもらったのは、私は初めてでした。おじさんの礼儀正しい性格ゆえなのかもしれませんが、カーマウを離れるときというだけあって、妙にじーんときてしまったのを覚えています。


さて、バスの出発時間が近づいてきたので急いでチェックアウト。なんだかんだと4泊もしたホテル。スタッフの皆さんともお別れ。さらにさみしくなりました。



カントーからやってきたときのバスターミナルへ行き、前日にホテルのフロントから予約しておいたフーンチャンツーリストの事務所でチケットを購入します。11時30分発、約8時間の長距離移動、サイゴンまでは21万5000ドンです。


この旅行社に限らず、最近多いベッドタイプの座席でした。実は上の段はけっこう揺れて苦手なのですが、今回は下の段を予約しておいてもらったので問題ありません。名残惜しい景色を眺めながら、音楽を聴いたり、本を読んだり、適度に眠ったりして、途中休憩を2回はさみながら、サイゴンのミエンタイバスターミナルに到着したのは、19時頃でした。


長い旅日記、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

From Hem

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